・以下メモ
日本の取り組み
- 日本は自動運転レベル4を認める改正道路交通法が23年4月に可決
- レベル1…運転補助、レベル2…高度な運転支援、レベル3…特定条件下の自動運転、レベル4…特定条件下の完全自動運転、レベル5…完全自動運転
- 特定条件下の要素…天候・場所・速度
- レベル1,2のサポート機能として追従機能のACCや自動ブレーキ機能、車線維持機能のLKASがある
- CMで有名人が手放しで運転しているのはレベル2の水準
- 一定条件下でアイズオフできるようになったのがレベル3で20年11月ホンダが市販車をリリース
- レベル3のオーナーカー・サービスカーは形式認証されており、レベル4も実証実験レベルで行われている
- レベル4は運航領域内(ODD)でシステムが全てを担当
- Amazonは自動運転を公道で実施しており、経産省も25年までに混在交通下において走行するPJを立ち上げている
- 期待される利用シーンとしてトラックの隊列走行において先頭のみ有人にすることでロジスティクスを効率化
- 自動走行技術を用いた幹線輸送の実用化により26年以降の社会実装を目指すようだ
世界の取り組み
- ドイツは21年にレベル4の公道の走行を許可する法案が有効になっている
- ドイツでも日本同様にロジの分野で活用するPJが進んでいるが環境の視点も厚い
- フランスの法整備は抽象的なところが多い
- アメリカのベンチャー[クルーズ]はレベル4の配車サービスが実施されているのである意味最先端だが時間・空間・速度の制限がある
- [リフト]と[モーショナル]は配車アプリでモーショナルの自動運転車を手配できる初の商用利用サービスを開発
- リフトはトヨタに自動運転レベル5の部門を売却した
- アメリカの法整備について、全州に効力を発揮する自動運転に関する法律はかなり抽象的で課題が残る
- 中国はバイドゥが22年8月に国内初の完全無人運転タクシー(レベル4)のサービスを開始すると発表するが、アメリカ同様時間・空間的な制限有
- 上記に加え、5G技術を活用して遠隔で運行状況を監視して必要に応じてコントロールしている
- 中国ではレベル3以上のサービスについて法制度的に責任の所在があいまいなようだ
自動運転の倫理問題
- 自動運転のジレンマ問題として「乗客・あるいは歩行者の生命を守るため他者の命を侵害するようにAIにプログラミングすることは許されるのか」という問題に突き当たる
- 現行の法制度ではトロッコ問題において一人を犠牲にするようなプログラムを組んだプログラマは緊急避難の三要件の内「補充性」を満たすことが出来ず殺人罪に該当する
- かといって想定しうるジレンマ状況においてプログラムしない選択も業務上過失致死に該当する
外国の倫理問題への対応
- ドイツでは国が自動運転に関する倫理規則を策定した
- その策定の中でプログラマにより人の死に関する決定がなされうる点を明らかにしている
- 以下気になる部分について、本の内容を独自に超訳すると「人間の運転よりリスクバランスについてプラスであればよい」、「ジレンマ状況への対処に関する責任問題は事故発生の事後に明らかになるもので事前にプログラマが正しいプログラムが出来る由もない」、「歩行者の属性によって歩行者への犠牲を強いてはいけないし、相殺も認められない→歩行者を巻き込まない範囲で犠牲者数を最小化する行動を選択させる」
- EUの自動運転に関する提言では一般人をプログラミングの基準策定に巻き込むべきだとの記載がある
- イギリスの倫理提言において、メーカーも運行事業者も安全だけでなく倫理を担保する仕組みを要求
- 倫理を担保するために具体例としてODDを国民に知らせたり、センシングについて交通弱者だけを取り出して配慮する必要があることなどが提言されており、メーカー・ディーラーが機能限界を誇張しないよう縛る仕組みが大事と考えているようだ
命の優先問題について
- 人命の優先度について、国別調査の結果は当然バラバラで、最も多く歩行者の人命を優先するべきと回答したのが日本で運転手は中国
- 人命最優先の問題は前提としてどういう状態にある人の人命かという命題があり、ドイツではジレンマ状況に関するプログラミングが禁止されているのが示唆的
自動運転に関する責任について
- 神奈川でレベル2の運転補助を利用したユーザが1分居眠りをして事故を起こした事件は有罪になったが、ディーラーの運転補助に関する説明が過大であったり問題もあった
- 改正された現行の日本の法制度について、自動運転のレベル3においてアイズオフは許可されているが機体からTORの要請を受けたとき必ず速やかに応えなければならないという判断
- 上記よりセカンドタスクに熱中していてTORに応じなかった結果事故を起こした際自動車運転過失致死傷罪が適用される
- 特定自動運行(自動運転レベル4)の責任について、社内に特定自動運行主任者がいるか、現場措置業務実施者を外部委託するか、監視者のコントロールセンターがあるかなど論点が拡散している
- 現状は自動運転レベル4といえど操作者一人が三台を監視しているが目下の論点として監視者がどこまで介在するべきか、また、そこで発生する責任はどうなるのかというものがある
- レベル4の前提としてシステムが止まるとき、車両はリスクを最小化状態になるための動作であるMRMが実装されているのが前提で改正法にて義務化されている
- 特定自動運行に関する教育義務について、日本では自動運行の事業者にあるとし、ドイツではメーカーに義務を課している
- また、特定自動運行の形態として、主任者が遠隔でリモート監視する一号方式と主任者が同乗する二号方式がある
- 自動運行従事者として運送事業者の従業員の内運転操作以外の業務を行うものを定義して二号方式にて同乗させる動きもある
- 車両内の緊急停止ボタンを乗客が押した結果何らかの実害を与えた場合はレベル4であっても罪に問われる可能性が高い
自動運転に関するデータの取り扱い
- 現状国土交通省のガイドラインによれば自動運転で何のデータをどれだけ保存するかは後日指示するとのこと
- ガイドラインの脚注からは記録されるべきデータは国連の動きに足並みをそろえる予定のようだ
- 自動運転車両の事故の捜査や保険金額などはEDRが担っていくと考えられ、乗客の主観的な主張などはなくなっていく
- ドイツでは保存しておくべきデータの種類を網羅的に列挙しており、研究目的であれば大学や自治体がこれらのデータを使用することを認めており、運転手に対してもデータの提出義務を課している
・読後後記
自動車業界のソフト面において最もアツい分野だと考え手に取ってみた。
この本の発売日が23年3月とほぼ二年前であることを考えるとレベル4の現状がどうなっているのか強い関心が生まれた。
新聞や雑誌を読んでいてレベル4について技術が進歩していることはまま確認するものの現状を正しく理解したい気持ちがあるので引き続き調査をしたい。
そして、報道でトヨタの会長が自動車の会社からソフトの会社への転換を宣言したようにIT×自動車の中心的な技術であり続けることは必定だと考えた。